
せっかく英単語を覚えても、すぐに忘れてしまう……。
そんな悩みを抱えていませんか?
実は、英単語暗記には「科学的に効果が証明された方法」が存在します。昔ながらの「ひたすら書いて覚える」や「時間をかけて丸暗記する」といったやり方だけでは、脳の記憶システムを最大限に活かせず、非常に効率が悪いことがわかっています。
この記事では、脳科学・心理学の最新研究に基づいた英単語暗記法を、わかりやすくまとめました。今日から実践できる具体的なステップも紹介しているので、
「最速で単語を覚えたい」「忘れずに定着させたい」
そんなあなたにぴったりの内容になっています。
それでは早速、科学が認めた「英単語暗記の最短ルート」を見ていきましょう!
基本戦略:高速仕分け暗記法
高速仕分け暗記法とは?
さっそく結論から言うと、次のことが非常に重要です
👍 短時間で単語を覚えたかどうかを仕分けし、単語帳を高速で繰り返す
この方法は、心理学・脳科学の研究で証明されている「テスト効果(retrieval practice)1」と「間隔反復(spaced repetition)」の2つの原理に基づいています。
テスト効果とは、単語をただ眺めるよりも、「思い出す」という行動そのものが記憶を強化するという現象です。短い時間で「覚えているかどうか」を判断する作業は、まさにこの「思い出す」行為そのものにあたり、記憶の定着を大幅に促進します。

出典:科学的根拠に基づく最高の勉強法2より
また、間隔反復3とは、みなさんおなじみの忘却曲線(エビングハウスの理論)に従い、忘れかけたタイミングで復習することで、記憶が長期的に保存されるという仕組みです。覚えた単語も、時間をおいて何度も仕分けし直すことで、自然とこの「忘却を防ぐ復習」ができるようになります。

出典:Duolingoへの質問:「間隔反復学習」は、なぜ効果的?より
つまり、単語帳を使って
- 短時間で覚えた/覚えていないを仕分ける
- 仕分けた結果をもとに何度も回転させる
このサイクルを繰り返すことは、科学的にも「記憶にとって最も効率的な学習法」のひとつだと言えるのです。
具体的なやり方
最終的には1単語あたり1秒を目指す!
英単語学習のゴールは、ただ「なんとなく覚えること」ではありません。
見た瞬間に意味がパッと浮かぶレベルまで自動化することが、本当の定着です。
この「瞬時に意味が出てくる」状態は、認知心理学でいう自動化(automaticity)にあたります。自動化とは、反応速度が速く、脳の負荷が小さく、しかも忘れにくいという状態のことです。よく言われるのが「犬dogレベル」ですね。(”dog”と言われて、犬の映像が即座に脳内に描かれる状態のこと)
英語教育や第二言語習得研究でも、この自動化が「読解スピード」や「リスニング力」と直結することが数多くの研究で明らかになっています(例:Segalowitz, 20034)。単語を1秒以内に思い出せるようになれば、脳はその語彙を「長期記憶の中の即時アクセス可能な情報」として扱うようになります。
そのためには、繰り返し「思い出す練習(=テスト効果)」をしながら、1単語あたりの処理時間を意識的に縮めていくことが鍵になります。
最初は30秒でもかまいません。でも、最終的には「1秒以内に意味が出てくる」ことをゴールにする。このスピード感が、実践で使える語彙力につながっていきます。
単語仕分けの「チェック」の付け方:シンプルだけど超効率的!
ここでは、単語帳を使って単語を高速で仕分けしていく際の、具体的な「チェックのつけ方」を紹介します。
この方法、見た目はとてもシンプルですが、科学的な記憶法の原理にもバッチリ沿った効率的なやり方です。
単語仕分けの「チェック」の付け方
- 英単語を1つずつ見て、「1秒以内」に意味が思い出せるかチェックします。
- 思い出せなかった単語には、その横に線を1本(|)引きます。
- 2周目以降も思い出せなければ、線を1本ずつ重ねていきましょう。
- 線が4本になったら、次は*の隣に線を1つ追加します。

逆に、1秒以内に意味がスッと出てきた単語には「◯」をつけて、次回以降はスキップします。

このシンプルなチェック法には、実は驚くほど多くのメリットがあります。
まず一つは、「覚えた単語」と「まだ覚えていない単語」が一目でわかること。チェックがついていない単語はすでに定着しており、線や*がついている単語はまだ練習が必要だと、ぱっと見で判断できます。
次に、復習すべき単語が明確になること。毎回すべての単語を最初から見る必要はなく、「覚えていない単語だけ」に絞って効率的に周回できます。これにより、限られた時間でも成果が出やすくなります。
さらに、視覚的に自分の成長を実感できるのも大きな魅力です。線や*がどんどん減っていくことで、「覚えた!」という達成感が生まれ、学習のモチベーションもアップします。
そしてこのやり方は、自然と「間隔反復」の形になるのもポイント。覚えられていない単語ほど何度も出てくる構造になっているため、科学的にも効果が高いとされる「忘れかけた頃の復習」が無理なく実現できるのです。
英単語学習に効果的な時間帯とは?
「英単語って、いつ覚えるのがいちばん効率的なんだろう?」
そう思ったことがある人は多いはず。結論から言えば、「朝」と「寝る前」が、記憶の観点から見て非常に効果的だと科学的に証明されています。
朝:脳が最もクリアな時間に新しい単語を覚えよう
朝は、脳の前頭前野(記憶・思考・注意をつかさどる部位)が最も活性化する時間帯。特に起床から約2〜3時間は「認知のゴールデンタイム」とも呼ばれ、情報の処理効率が高まります5。
朝のフレッシュな脳で新しい単語を覚えることで、短期記憶への入力効率が高まり、その後の定着にも良い影響を与えます。
夜:睡眠中に記憶が“整理・固定”される
寝る直前に学習した情報は、睡眠中に脳が優先的に再処理し、長期記憶に変換するという現象が知られています。
これは、脳の中にある「海馬」と「大脳皮質」の連携によって行われており、寝ている間にその日得た情報が再生され、重要なものだけが記憶として残されるのです。6
つまり、おすすめのやり方は、以下のとおりです。
- 朝:新しい単語を高速でチェックし、仕分け
- 夜:仕分け済みの単語をもう一度ざっと復習してから寝る
この「朝インプット → 夜アウトプット&記憶固定」のリズムを習慣化することで、単語の記憶効率は確実にアップします。
応用編:【イメージで覚える】記憶に残る英単語の覚え方
何度繰り返してもなかなか覚えられない単語に必ず出会います。
そんなときに効果的なのが、“イメージで覚える”という記憶術です。
これは、単語の意味をただ言葉で暗記するのではなく、視覚的なイメージ(絵・情景・動作)と一緒に覚える方法。脳の記憶システムに沿った、非常に効率的なやり方なんです。
なぜ「イメージで覚える」と記憶に残るの?
カギになるのは「デュアルコーディング理論」という考え方です。
これは1970年代に心理学者アラン・パイヴィオ(Allan Paivio)が提唱した理論で、「言葉」と「イメージ」の2つで覚えると、記憶がより強く残る というものです。
私たちの脳には、「言語を処理する部分」と「視覚を処理する部分」があり、両方を同時に使うと、情報の記憶が2倍強くなると言われています。
たとえば、
- “apple” という単語だけで覚えるよりも、
- “赤いりんごのイラスト”や“りんごをかじる自分の姿”を思い浮かべながら覚えると…
その単語に「イメージのフック」が加わり、あとから思い出しやすくなるんです。
具体的なやり方
1.単語を見た瞬間に「イメージ」を思い浮かべる
たとえば「reimburse(払い戻す)」という単語。
- あなたが出張に行って、自分で立て替えた交通費やホテル代の領収書を会社に提出
- そのときの気持ちをイメージしてください。「あ、返ってきた!ラッキー!」みたいな

2.イメージが湧きにくければ、画像検索やイラストを活用
- Google画像検索でその単語を検索してみるのもおすすめ
- もしくは、ChatGPTやGeminiなどAIで画像生成するのもありです

単語は、ただ訳を覚えるのではなく、「自分の体験」や「イメージ」と結びつけることで、記憶に深く定着します。
今日紹介したような方法を活用して、reimburse のような抽象的な単語も、あなた自身の言葉として使えるようになっていきます。
応用編:【語源・接頭語・接尾語で覚える】知らない単語も“推測できる”力がつく!
イメージを使ってもなかなか覚えられない場合は、語源・接頭語・接尾語を使った覚え方も有効です。
なぜ「語源」で覚えると効率がいいの?
英単語の多くは、「語源(ラテン語・ギリシャ語)」をもとに構成されています。
つまり、単語をパーツ(prefix+root+suffix)に分けることで、「意味の核」や「使い方の傾向」が見えてくるんです。
たとえば…
“predict”=pre(前)+dict(言う) → 「前もって言う」→ 予測する
“transport”=trans(越えて)+port(運ぶ)→「越えて運ぶ」→ 輸送する
初見の単語でも、パーツの意味を知っていれば、ある程度推測できるようになります。
語源で覚えるメリット
英単語を効率よく覚えたいなら、「語源」や「共通パーツ(接頭語・語幹・接尾語)」を意識するのがとても有効です。
たとえば、mit(送る)という語幹を覚えておけば、permit(許可する)
、transmit(送信する)
、commit(委ねる・犯す)
など、意味の核がつかめるようになります。
こうした共通パーツを知っておくと、知らない単語でも「なんとなく意味が想像できる」という力がついてきます。これは、語彙の幅をぐっと広げる近道になります。
さらに、意味が似ていて混乱しがちな単語も、構造的に理解することで区別がつけやすくなります。
たとえば…
- permit = per(完全に)+ mit(送る)→「完全に通す」=許可する
- transmit = trans(越えて)+ mit(送る)→「越えて送る」=送信する
- commit = com(共に)+ mit(送る)→「一緒に送る」=約束・委ねる(→罪を犯すもここから派生)
このように、共通パーツを意識するだけで語彙力が一気に広がり、意味の推測力や記憶の定着度もアップします。
単語学習を「丸暗記」から「構造理解」へシフトしてみましょう
まとめ
今回ご紹介した英単語暗記法は、科学的な知見をベースにした、シンプルかつ実践的な方法です。どれも特別な道具は必要なく、あなたの手元の単語帳と少しの工夫で実現できます。
「頑張っているのに覚えられない…」そんなモヤモヤを感じていた方こそ、一度この方法を試してみてください。

脳の仕組みを味方につければ、単語暗記はもっとラクで、もっと楽しくなります!
参考記事・動画)
- 英単語を超効率的に暗記するコツ3選とは?早稲田首席が解説します!
- 【英単語暗記法】20000語を覚えるための方法
- 最強の英単語暗記法【グルグル勉強法】
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- 【誰でもできる】武田塾式英単語をたった1時間で100個覚える方法
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- 学習科学の研究者が教える効果的な学習方法:デュアルコーディング(dual coding)
脚注
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